作者のフィリップKディックは、映画トータルリコールやブレードランナー、マイノリティーレポートなどの原作者です。
この本の印象を手短にいうと、”面白いけどややこしい”。

登場するのは政府の人たち、工芸店店主、工芸職人、その工芸職人の妻と彼氏、作家。
舞台は日本、ドイツ、イタリアの枢軸国が戦争で勝った世界。(そう、もしもの世界です。これが構造的に厄介なのです、この本は。)
知らないところで人々が繋がっていて世界ができている群像劇の様相。
例えば作中に出てきたライターの話で同じライターが二つあるが一つはガラクタだけどもう一つは歴史的人物が所有していたものでとても価値がある。その違いはなんなのか。
正しさや本物や価値とは何かを追求する話がそこかしこに登場する一方で、物事を受け入れる過程で道(TAO)や占いのスピリチュアル的世界が登場する。どれが正しいのか迷い苦しみ翻弄される登場人物たちの物語にもみえる。
全体にあるのは、自分が正しいと思わずして人は生きて生きていけないという感じだろうか?いや、人は自分が”そうである”と思う生き方しかできないということか?
それはそれとして、物語の運びが今の時代の世界と重なってるように思った。それだけにどのような世界であろうと人はこういう過程を辿るものかなと。
いくつもの注目する一節があり、興味深い面白さがある。
