赤土を用いて象嵌で器を作った。






さて、陶芸における**象嵌(ぞうがん)**とは、
器の素地(まだ焼いていない土)を彫り、そこに別の色土や化粧土を埋め込んで文様を表す装飾技法です。
線や模様が“はめ込まれている”ように見えるのが特徴で、焼成後も模様が摩耗しにくい技法です。
象嵌の基本構造
- **素地を半乾き(革のような硬さ)**にする
- 文様を彫る(線・面)
- 色土・化粧土を埋める
- 余分を削り取り、模様を際立たせる
- 施釉・焼成
→ 文様は器の表面と一体化している
主な象嵌の種類
① 線象嵌
- 細い線を彫り、そこに色土を詰める
- 草花・幾何学模様・文字に向く
▶ 繊細でシャープな表現
② 面象嵌
- 広い面積を彫り込んで埋める
- 魚・花・紋様など
▶ 強いコントラストと装飾性
③ 掻き落とし象嵌(白黒象嵌)
- 黒土に白化粧土を掛け、模様部分を掻き落とす
- 広義では象嵌の一種として扱われることも
▶ 韓国李朝や民藝系に多い
※ 厳密には「埋める」工程がないため、
象嵌とは別技法とする考えもあります。
象嵌に使われる材料
- 色土(白土・赤土・黒土など)
- 化粧土(泥状にした土)
- 金属酸化物(酸化鉄・コバルトなど)を混ぜて発色調整
象嵌の魅力
- 文様が削れにくく実用性が高い
- 線がくっきり出る
- 釉薬を掛けても模様が失われにくい
- 素地と文様が一体化する安心感
注意点・失敗しやすい点
- 素地と色土の収縮率が近いことが重要
→ 違いすぎると剥離・ヒビの原因 - 埋めるタイミングが早すぎると滲む
- 遅すぎると密着しない
- 削りすぎると文様が薄くなる
日本・海外の代表例
- 高麗青磁象嵌(韓国)
- 三島手(みしまで):日本で発展した象嵌技法
- 益子・小鹿田など民藝陶の象嵌装飾
掛け分けとの違い(簡単比較)
| 技法 | 装飾の位置 | 特徴 |
|---|---|---|
| 象嵌 | 素地そのもの | 削れにくい、線が明瞭 |
| 掛け分け | 釉薬表面 | 釉調の変化、偶然性 |
まとめ
- 象嵌=彫って埋める装飾技法
- 素地と一体化した文様が特徴
- 実用性と装飾性を兼ね備える

